- 2024.08.24
- 屋根リフォーム
塗装ができない屋根に注意!7つの種類と適切なリフォーム方法を解説
ご自宅の屋根の塗装をご検討中のあなた。
屋根を見てもらった塗装業者に「お宅の屋根は塗装が出来ない屋根ですよ」と言われ、本当かどうか心配になって調べているのではないでしょうか。
実際に、屋根の中には “塗装が出来ない(=やっても意味がない)種類”があります。
もし「お宅の屋根は塗装出来ない屋根ですよ」と言われたことがある方は、本当にご自宅の屋根がそうなのか確認することが大切です。
そこで、この記事では塗装が出来ない・おすすめしない屋根材7種類を写真や特徴的な劣化症状と共にご紹介していきます。
ご自宅の屋根に似たような症状がないか比較するのにお役立てください!
また記事の後半では、ご自宅の屋根が”塗装出来ない屋根“だった場合の適切なリフォーム方法や屋根の工事をお得にするコツについてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を読んで、ご自宅の屋根の正しいリフォーム方法を見つけてお家を長持ちさせていきましょう!
目次[非表示]
塗装できない、おすすめしない屋根材7選
住宅の屋根材の中には「塗装できない屋根」が多く存在します。
その多くは、2000年前後に製造された「ノンアスベスト製品」に該当します。
アスベスト(石綿)は強度が高く、かつては屋根材として広く使われていましたが、健康への悪影響から2006年に使用が禁止されました。
これにより、メーカーは2000年頃からノンアスベスト製品を販売し始めました。
しかし、アスベストを除いた結果、初期のノンアスベスト製品は強度が低くなり、特に耐久性の面で問題が出ました。
そのため、塗装しても劣化が防げず、塗装する意味がないというケースが多いのです。
こういった理由から、信頼できるリフォーム業者は、これらの屋根には塗装を推奨しないことが一般的です。
ただし、すべてのノンアスベスト屋根が塗装できないわけではありません。
次に代表的な製品を7つ紹介しますので、まずはご自宅の屋根が該当するか確認してみましょう。
パミール
「パミール(製造期間:1996~2008年)」は、塗装ができない屋根材の代表的な例です。
これは、外壁材メーカーの大手であるニチハが製造した製品で、多くの住宅で使用されています。
この屋根材の特徴は、ミルフィーユのように層がパリパリと剥がれてくる「層状剥離」と呼ばれる症状です。
この劣化は、使用開始から8〜10年ほど経つと特に目立つようになります。
塗装しても屋根材自体が剥がれてしまうため、塗装には全く意味がありません。
工事費用が無駄になるだけなので、絶対に塗装は避けてください。
レサス
「レサス(製造期間:1999~2006)」は、松下電工(現在のパナソニック)が製造した製品です。
この屋根材は強度が低く、点検時に人が上を歩くと割れてしまう危険があります。
特徴として、細かなひび割れや、扇形に大きく割れる欠損が多く見られます。
塗装しても強度を回復できないため、メンテナンスとして塗装する意味がありません。
※松下電工の外装建材部門は後にクボタ(株)と事業統合し、現在はケイミュー株式会社に社名を変更。
シルバス
「シルバス(製造期間:2001~2003年)」は、松下電工がレサスの上位商品として発売した製品です。
しかし、レサス同様にひび割れや欠損が多く発生します。
デザイン性の高い大きなスリットが特徴ですが、その分割れやすさが増しています。
さらに、通常のスレートで行う「縁切り」や「タスペーサー」の作業でも割れが起こりやすいため、塗装はおすすめできません。
コロニアルNEO
「コロニアルNEO(製造期間:2001~時期不明、現在は製造中止)」は、クボタ(現ケイミュー)が製造した製品で、現在広く使われている「カラーベストシリーズ」の一つです。
この屋根材は、細かなひび割れや先端の劣化、崩れが起きやすい特徴があります。築10年を超えると、全体的にひび割れが目立つようになります。
ただし、コロニアルNEOは他の屋根材に比べて不具合の報告が少ないノンアスベスト屋根でもあります。
築年数が浅い場合や、状態が良ければ、塗装によるメンテナンスで持たせられる可能性もあります。
点検のうえ、業者と相談することをおすすめします。
アーバニーグラッサ
「アーバニーグラッサ(製造期間:2001~2005年)」は、クボタ製の屋根材で、一般的に「アーバニー」とも呼ばれます。
特徴的なうろこ状のデザインが魅力ですが、その分強度が低く、細かなひび割れや欠損が多く見られます。
この屋根材は部分的な差し替えや補修が難しく、塗装によるメンテナンスも推奨されません。
実際に、先端部が割れて滑落する事例も多く報告されています。
ザルフグラッサ
「ザルフグラッサ(製造期間:2001~2005年)」もクボタの製品で、コロニアルNEOと似た形状をしていますが、スリット幅がやや広いのが特徴です。
この屋根材は、ひび割れが多発し、劣化が進むとパミールのように層状剥離が起きることもあります。
特に両端部分がひび割れや欠落しやすいため、注意が必要です。
セキスイかわらU
「セキスイかわらU(製造期間:1990~2007年)」は、大手ハウスメーカーの積水グループが長年使用していた屋根材で、「U瓦」とも呼ばれます。
この製品は以前から販売されていましたが、1990年以降にノンアスベスト仕様に切り替わりました。
特徴として、ひび割れに加え、表面の塗膜が剥がれやすいことが挙げられます。
他の屋根でも!塗装注意な劣化状態
1章で紹介した屋根材以外でも、塗装ができないことがあります。
屋根の経年劣化が進みすぎて、塗装しても強度が保てない場合です。
どんなに優れた屋根材でも、適切な時期にメンテナンスを行わなければ劣化が進んでしまいます。
以下の状態では、塗装が推奨されません:
◆ひび割れ・欠損
屋根全体に多数のひび割れや欠損がある場合。
数か所なら補修して塗装が可能ですが、広範囲にわたる場合は屋根がかなり弱っており、塗装はおすすめしません。
◆塗膜剥離
前回の塗装が不十分で、全体的に膨れや剥がれが見られる場合。
塗装には高圧洗浄や手作業での剥離作業が必要ですが、剥がれた箇所から水が染み込んでいると、屋根材が弱っているため、塗装は効果がありません。
◆下地の傷み
下地が弱っていたり、雨漏りが発生している場合。
特にトタンなど薄い屋根材では、点検時にフカフカとした感触があり、内部の木材が傷んでいることがあります。
また雨漏りがある場合は、塗装では対処できません。
これらの状態は、特に20年以上メンテナンスを行っていない場合に特に発生しやすいです。
早めの点検とメンテナンスを行うことで、塗装で済ませることができる可能性があります。
塗装できない屋根の対処法
屋根塗装が出来なかった場合の選択肢は
①カバー工法(重ね葺き)
②葺き替え(交換)
の二つです。
それぞれの特徴や工事内容、費用についてご紹介します。
コスパがよく人気なのはカバー工法
近年おすすめされるのが「カバー工法(重ね葺き工法)」です。
この方法では、既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねる工事を行います。
費用相場:
約80~150万円(30坪、屋根面積80~100㎡の場合の概算)
メリット:
- コスト削減: 屋根材の撤去や処分が不要なため、葺き替え工事に比べて約20~30万円ほど安くなります。
- 耐久性: 使用する屋根材によりますが、一般的には20~40年ほど持ちます。葺き替え工事と同じ耐久年数を持ちつつ、費用が抑えられるため、とてもお得です。
雨漏りしている・下地が劣化しているなら葺き替え
屋根が剥がれたり割れたりして水が侵入し、雨漏りや屋根の下地の湿気・傷みがある場合には、「葺き替え工事」が必要です。
葺き替え工事とは、既存の屋根を完全に撤去し、新しい屋根に取り替える工事です。
この工事では、屋根材だけでなく、屋根の下地板も補修・交換します。つまり、屋根を丸ごと取り替えることになります。
費用相場:
約100万円~200万円(30坪、屋根面積80~100㎡の場合の概算)
メリット:
- 耐震性の向上: 新しい屋根材は、カバー工法で使用するものと大きな違いはありませんが、現在の屋根より軽量であることが多く、屋根全体が軽くなり、耐震性が向上します。
費用負担を抑えて工事するコツ
カバー工法や葺き替え工事は、塗装と比べるとどうしても費用が高くなります。
予算オーバーで困っている方も多いと思いますが、以下の3つのアドバイスで工事費用をできるだけ抑えましょう。
リフォームローンを利用する
まとまったお金の工面が難しい場合は、リフォームローンの活用を検討してみましょう。
高額な工事費用も分割払いにすることで、負担感を軽減できますし、月々の支払いも家計のやりくりがしやすくなります。
ローンを申し込める場所:
- 住宅ローンを利用している金融機関
- 銀行
- 施工業者が提携するクレジットローン など
支払回数:
- 30回、60回、120回など、状況に応じて選べます。ご家庭の状況や将来計画に合わせて回数を設定しましょう。
また、頭金を払っておいて、工事費用の「一部だけ」をローンにすることも可能です。
全額ローンは不安がある場合でも、部分的に利用することで検討しやすくなります。
自分に合ったローンを選んで、上手に屋根の工事を進めましょう。
一緒に外壁塗装をする
屋根の工事を行う際には、同時に外壁塗装(外壁のメンテナンス)も行うことをおすすめします。
その理由は、足場の組み立てを1回で済ませることができるからです。
一般的な2階建ての家では、足場費用が10~20万円ほどかかりますが、これを2回から1回に減らすことができるのは大きなメリットです。
足場を立てる際には、一緒にできる工事はすべて済ませるのが最善です。
屋根工事を依頼する際には、外壁塗装も合わせて見積もりを取りましょう。
自治体の補助金を利用する
自治体によっては、屋根工事に補助金(助成金)がもらえることがあります。
主に耐震性の向上やエコ・節電などの住まい環境改善についての制度です。
ご自宅の屋根工事に適用できる制度があるかどうか、お住まいの自治体HPや問い合わせで確認してみましょう。
◆参考サイト
地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト
こちらのサイトでは、地方公共自治体による支援制度を検索できます。
まとめ
「塗装できない屋根」は意外と多く存在します。
特に2000年前後にノンアスベスト切り替え時期に製造された以下の屋根材に注意が必要です:
- パミール
- レサス
- シルバス
- コロニアルNEO
- アーバニー
- ザルフグラッサ
- セキスイかわらU
また、どんな屋根材でも劣化が進みすぎると塗装ができなくなります。
メンテナンス時期を逃さないようにしましょう。
塗装できない屋根には、「カバー工法」や「葺き替え工事」で対応することになります。
これらの方法は塗装よりも費用がかかりますが、後回しにするとさらに費用が増えるリスクがあります。
お得に工事を行うためのコツを押さえ、できるだけ早くメンテナンスを行いましょう。
大切なお家の工事に役立てていただければ幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。