- 2024.04.05
- 屋根リフォーム
屋根の釘抜けにご用心!放っておけない4つの理由と補修方法・費用
近くを通りかかった業者に「屋根の釘が抜けているから危険だ」と言われたけど…
「屋根の釘ってどこのこと?」
「本当に釘が抜けているの?」
「釘が抜けるとどうなるの?」
と不安になって調べているのではないでしょうか。
屋根の釘とは、詳しくいうと屋根をおさえる板金や瓦を固定している釘のことです。
目次[非表示]
これら釘は、板金や瓦の熱膨張によって年数が経つとどの家でもせせり出てきてしまいます。
小さい釘なんか放っておけばいいと思われる方もいらっしゃいますが、実は放置してはいけない症状で、釘が抜けていたら再び打ち込んであげることが大切です。
ただ、いつ頃自分の家の釘が抜けてくるのか、本当に釘は放っておいてはいけないのかイマイチ分からないですよね。
そこでこの記事では、釘が抜けてくる時期と釘を放置していけない理由を4つ解説していきます。
また、記事の後半では釘が抜けていた時の補修方法と費用相場もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
屋根の釘抜けは、どのお宅でも起こりうることですので、適切な対処方法を知っておきましょう!
※点検商法、詐欺被害に注意※
近年、突然訪ねてきて「屋根の釘が抜けている」「点検しますよ」などと言って嘘の点検結果を報告したり、わざと屋根を壊したりして、高額な修理費を請求するような悪質な業者が、全国各地で報告されています。
屋根の細かいところは、地上から見えることは滅多にありません。知らない業者は絶対に屋根に上らせないようご注意ください。
ただ、屋根の釘が抜けてくること自体は、あらゆるお家で実際に起こる可能性があります。
本記事でも屋根の劣化や修理について具体的に解説します。
正しい知識を身に付けて、被害から身を守りましょう。
屋根の釘は7~8年で抜けてきてしまう
屋根の釘は、主に屋根の頂上にある「棟板金」や「棟瓦」を固定するための釘です。
一般的に、お家が築7~8年経つと、この釘が少しずつ抜けてくることがあります。
ただし、全ての家において同じように抜けるわけではなく、個々の状況によって異なります。
また、地上からではほとんど見えないため、確認するには専門家がはしごや高所カメラを使用して点検する必要があります。
屋根の釘が抜けてくる理由は、屋根の種類によって異なります。
スレート屋根の場合:
スレート屋根では、頂上からの雨水の侵入を防ぐために棟板金を釘で固定しています。
棟板金は金属製であり、太陽の熱によって温められると膨張し、夜間に涼しくなると収縮します(金属の熱膨張)。
この膨張と収縮が繰り返されることで、時間の経過とともに釘が少しずつ押し出され、最終的に抜けてきてしまいます。
瓦屋根の場合:
瓦屋根では、屋根の頂上に雨の侵入を防ぐために棟瓦を釘やビスで固定しています。
長年の間、雨風にさらされることで屋根内部の漆喰や木材が劣化し、それによって釘がゆるんできます。
この劣化が進むと、釘が十分に固定されなくなり、結果として釘が抜けてしまうことがあります。
たかが釘と軽く見てはいけません。対処したほうがよい状態です。
このまま放っておくとどうなってしまうのか、さらに解説していきます。
屋根の釘浮きは放置NG!4つの理由
屋根の釘が浮いている・抜けてきている状態を放っておいてはいけないのには、大きく4つの理由があります。
お家の寿命に関わる大切なことですので、しっかりお読みください。
釘の隙間から雨水が侵入する
抜けた釘を放っておくと、釘の刺さっていた穴の隙間から水が浸入してしまいます。
水はどんなに隙間でも入り込みます。
そうすると、屋根の内部にある木材が腐ってしまうのです。
腐食はさらなる劣化や雨漏りの原因となってしまいますので、こうなるまえに釘の処置が必要です。
▼棟板金の中の木材
板金の中には、貫板(ぬきいた)という木材が入っています。
▼釘が浮いたまま放置すると…
抜けた釘を伝って雨水が入り、木材を腐らせてしまいます。
板金や瓦が強風で変形・破損する
釘浮きを放置すると、屋根の上の棟瓦や棟板金が破損や変形する可能性があります。
釘がゆるんでいると、瓦や板金がしっかりと固定されていない状態になるためです。
強い風が吹くと、屋根の上の部材がバタバタと動いて屋根材やその他の部材に負荷をかけ、最終的に破損や変形を引き起こす原因となります。
そのため、釘浮きが見つかった場合は、屋根の安定性と耐久性のためにも速やかに修理することが重要です。
▼棟板金を固定できていない状態
板金が歪み、手で簡単に動かせる状態になっています。
雨が降ると、この隙間からもダイレクトに水が入って家を傷めてしまいます。
板金や瓦が落下してしまう
釘がゆるんでいるままだと、屋根の上にある棟板金や棟瓦が台風などの強風で飛ばされて落下する危険があります。
棟板金は薄い鉄板ですので、浮いた隙間から風が入り込むと飛ばされてしまうからです。
実際に、台風などのときには多数の被害が発生しています。
万が一、飛んだ板金や瓦が物や人に当たれば、重大な事故になってしまいますので、最悪の事態を避けるためにも釘の補修は重要です。
▼台風で被害を受けた棟板金
棟板金が一部飛ばされて無くなっています。
1~2mほどある金属の板なので、もし通行人などに当たっていたら大変です。
雨漏りの原因となり、家の寿命を縮めてしまう
釘浮きを放置することは、雨漏りの原因となり、家の耐久性を低下させます。
釘の隙間から雨水が侵入すると、屋根の下地や内部の構造物に水が浸み込みます。
水は重力に従って下に流れ、壁や天井に染みを作ったり、構造材を腐らせたりする可能性があります。
このような状況が続くと、家の耐久性が低下し、修理や補修が必要になってしまいます。
そのため、釘浮きが見つかった場合は、早めに修理を行うことが重要です。
▼雨漏りした状態の室内
雨漏りが発生すると、家を支える木材や柱などが腐食してしまい、家の寿命を大きく縮めてしまいます。
修繕工事には何十万という費用がかかります。
釘浮きを指摘されたらまずは業者に点検依頼
「釘が浮いているので、修理が必要です」という指摘があった場合、まずは信頼できる業者に点検を依頼することが重要です。
なぜなら、釘の浮き具合は遠目からでは判断が難しく、専門家の目で詳細に点検する必要があるからです。
悪徳業者は、実際に問題がなくても「釘が浮いている」と主張して不安を煽り、不必要な工事を契約させることがあります。
そうしたトラブルを防ぐためには、ドローンや高所カメラを使用した点検など、証拠となる写真で状態を確認できる業者に依頼することが重要です。
地元のリフォーム業者や屋根塗装業者では、無料で点検を行ってくれる場合もありますが、遠方にある事務所や支店からの出張には費用がかかる場合がありますので、この点も注意しましょう。
※自ら屋根に上ることは非常に危険ですので、絶対におやめください。
もしも釘が浮いていた場合、釘の打ち込みにかかる費用は15,000~40,000円程度です。
■釘の打ち込み修理
①浮いている釘を金槌で打ち込みます。
②コーキング(ゴム状の補修材)で、釘打ちした上をすべて留めます。熱膨張はこれからも起こるため、今後抜けにくくするための処理です。
③コーキングが乾燥したら、完成です。
★点検では必ず写真を撮ってもらいましょう
繰り返しになりますが、屋根の釘はほぼ頂上にあるため、抜けているかどうかは下からでは滅多に見えません。
点検時に屋根の様子を撮影し、きちんと写真を渡してくれる業者を選びましょう。
依頼するとき、「屋根の状態が分かるように、屋根全体や傷んでいる箇所の写真をください」と一言頼んでおくと確実です。
屋根全体の様子がしっかり分かるには、写真20~30枚程度が目安です。
ありもしない劣化を言われて不要な工事を迫られたりする心配をなくすためにも、必ず写真を撮ってもらいましょう。
補修の費用相場
屋根の状況によっては、釘打ちだけではなく追加の補修工事が必要となる場合があります。
主な理由は次の2つです。
①棟板金や棟瓦の破損・変形:
棟板金や棟瓦自体が損傷している場合、釘打ちだけでは十分な固定ができず、追加の補修が必要です。
これらの損傷は、風や雨などの自然の要因によるものが一般的です。
②棟板金や棟瓦の部材の腐食:
棟板金や棟瓦の中の部材が腐食している場合も棟が十分に固定されない状態になります。
単に釘打ちを行うだけでは解決せず、腐食した部材の交換などの補修工事が必要です。
補修の方法は、屋根の種類や状態によって異なります。点検の結果を受けて、適切な処置をしてもらいましょう。
スレート屋根の場合
◆棟板金・貫板交換:7,000~12,000円/m
棟板金は屋根の頂上にある、雨水の侵入を防ぐ板金です。
強風や衝撃で破損する場合がある為、交換が必要になる場合があります。
また、中の貫板は釘が浮いた隙間から侵入した水で腐食してしまいます。
腐食している場合、釘打ちしても固定できないため交換が必要です
貫板は新築時は木製が多いですが、腐らない樹脂製に交換も可能です。
▼腐食した貫板と、新しい貫板
瓦屋根の場合
◆棟瓦交換:10,000~50,000円/1枚
瓦は強風で物がぶつかった衝撃などで割れてしまうことがあるため、交換が必要になる場合があります。
放置すると、割れた所から家の中に水が侵入してしまいます。
◆棟瓦積み直し(取り直し):9,000~20,000円/1m
棟瓦を一度取り除き、雨水の侵入を防ぐための漆喰や垂木を交換・補修後に
もう一度瓦を積みなおす工事です。
補修工事費用を火災保険でお得にできる場合もあり!
補修工事が必要になった場合、火災保険の保険金を活用できる可能性があります。
ただし、具体的な条件や適用範囲は保険契約内容によって異なりますので、保険会社に問い合わせて詳細を確認してくださいね。
以下は一般的な条件の例ですが、必ず保険契約書や保険会社の担当者と相談してください。
<条件>
①加入している火災保険に「風災特約」がセットになっている
※風災特約が無い場合もあります。念のため、保険証券を確認してみましょう。
②強風、台風、ひょう、大雪(風災)が原因と認められたもの
※風災が原因かどうかは、最終的には保険会社から依頼を受けた鑑定人が判断します。まずはそうかもしれないと言って見てもらうのが良いでしょう。
③屋根修理が必要な状態になってから3年以内
※「◯年の台風の被害」等、自然災害の被害にあった時期を指します。例えば、2010年の台風被害にあった屋根を2019年に直そうとしても、年月が経ちすぎていて本当にその年の被害かが証明できないため、保険金の対象外となります。
④工事費用の合計が20万円以上
⑤保険に加入している本人が保険金の申請をすること
⑥過去5年以内に、屋根塗装を含む屋根修理をしていない
<必要書類>
①工事前に実際の屋根の状態が分かる写真
②工事費用の見積書
③保険金請求書
④事故状況説明書
写真や見積書は、業者に依頼して用意してもらいましょう。
ユーコーコミュニティーでは、保険対応のサポートは無料で行っております。
お気軽にご相談ください!
まとめ
屋根の釘は、棟板金や棟瓦をしっかりと固定するためのものです。
これらの釘が浮いてしまうと、様々な問題が生じる可能性があります。
まず、釘が浮いた隙間から雨水が侵入し、屋根の下に水が滲み込むことがあります。
これによって雨漏りが引き起こされ、家の内部や構造にダメージを与える恐れがあります。
また、釘が浮いた状態で強風が吹くと、瓦や板金が破損したり変形したりする可能性があります。
さらに、板金や瓦が落下してしまう危険性も考えられます。
これらの問題は、家の寿命を縮める要因となります。
ですから、釘浮きを放置せずに早めに修理を行うことが重要です。
一般的に、釘打ちの工事は比較的低コストで行うことができますが、屋根の状態によっては追加の補修工事が必要な場合もあります。
補修費用がかかる場合でも、火災保険の保険金を活用することで負担を軽減できる可能性があります。
保険会社に相談し、保険の適用条件や補償範囲を確認してみましょう
屋根の釘は小さな部品ですが、家の安全と耐久性に直結する重要な要素です。
定期的な点検やメンテナンスを行い、家を長く大切に保ちましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。