- 2024.04.05
- 屋根塗装
セメント瓦の塗装を全解説!時期・費用相場と塗料選び3つのコツ
うちは瓦屋根でも“セメント瓦”だから塗装が必要と言われたけど…
「本当に塗装しなければいけないの?」
「いつ頃必要なの?」
「注意点はあるの?」
と気になって調べているのではないでしょうか。
そもそもセメント瓦とは、一般的な和瓦よりも軽く、価格も安かったため一時期流行した屋根材です。
現在は新規製造されていませんが、今でもセメント瓦のお家にお住まいの方は多くいらっしゃいます。
一般のスレート瓦よりも厚くて丈夫なセメント瓦ですが、劣化してきたら塗装メンテナンスが必要になります。
ただ実際にいつ頃塗装が必要なのか分からないですよね。
そこでこの記事では、セメント瓦の主な劣化症状と塗装時期についてご紹介していきます。
またセメント瓦の塗装にかかる費用相場や塗料選びのポイントもご紹介しますので、実際の工事にお役立てください。
この記事を読んで、セメント瓦を適切な時期に塗装して長持ちさせていきましょう!
目次[非表示]
塗装しないと寿命が縮む!セメント瓦の劣化症状
セメント瓦は、定期的な防水塗装が必要な屋根材です。
最初は塗装されていて水をはじいていましたが、紫外線などによって塗装が劣化し、セメント素地がむき出しになると、水を吸収するようになります。
この水が原因で、さまざまな劣化症状が生じます。
以下に紹介する代表的な症状が見られたら塗装の時期です。
まずはセメント瓦の状態を建築会社や業者に点検してもらいましょう。
変色、色あせ
セメント瓦の表面が色あせ、くすんで見えます。
最初はきれいな色で塗装されていましたが、紫外線や雨風によって塗装が弱まり、色が褪せてきています。
これは劣化の初期症状です。
屋根を遠くから見たときに色あせて見えたり、新築時よりもぼんやりとした色に見えたら、専門業者に点検してもらいましょう。
カビ、コケの繁殖
屋根の瓦の表面に見られる茶色っぽいブツブツは、実はコケやカビです。
通常、コケは緑色のイメージがありますが、日光の強い屋根の上では乾燥して茶色くなります。
セメント瓦が湿気を含んでしまうと、カビやコケの胞子が付着して生育します。
これは表面の防水性が失われた証拠です。
カビやコケが瓦の内部に侵入すると、セメント自体が弱くなります。
その結果、瓦がひび割れしやすくなり、耐久性も低下します。
ですから、見つけたらすぐに塗装を検討しましょう。
ひび割れ、欠落
セメント瓦は厚みがありますが、時間が経つと経年劣化でひび割れてしまうことがあります。
これはセメントが水を吸収して膨張し、乾燥すると収縮する性質からくるもので、その動きによって負荷がかかるからです。
また、塗装の防水性が切れてからしばらく経つ状態です。
放置するとひびが広がり、最終的には欠損も生じる可能性があります。
もしも破片が庭やベランダに落ちてきたら大変なことになる可能性もあるため、早めに塗装業者に相談し、塗装メンテナンスを検討しましょう。
ベストな塗装時期は築後10~15年
セメント瓦の塗装は、一般的に築後約10年が理想的です。
なぜなら、初めの塗装の効果が切れて、その後の劣化が進む時期だからです。
遅くとも15年経過する前には行うことが望ましいでしょう。
最近の薄型スレート瓦は、10年もしないうちに割れることも多いですが、セメント瓦は厚みがあり、頑丈な瓦として知られています。
しかし万が一大きな割れが発生してしまうと、セメント瓦は補修が難しい上に、現在は製造・販売されていないため、同じ瓦を手に入れるのが難しく、交換できないことがあります。
また、安価で施工が容易な薄型スレート瓦が主流となっているため、屋根の瓦を交換する際には大きな工事や費用が必要になることも考えられます。
余計な費用をかけずに重厚感のあるセメント瓦のデザインを維持したいのであれば、築10年前後で塗装メンテナンスを検討することが重要です。
費用相場は50~80万円
セメント瓦の塗装工事は、50万~80万円ほどの相場です(足場代も含む)。
屋根の大きさや形状、使用する塗料のグレードにもよって変わってきます。
実際に塗装するときは、きちんと屋根点検をしてくれる業者に見積もりをもらいましょう。
また、セメント瓦で注意すべきなのは塗料選びです。
次の章で詳しく解説していきます。
最適な塗料選び3つのコツ
セメント瓦の塗装工事では、塗料の選択が非常に重要です。
一般的な薄型スレート瓦とは異なり、セメント瓦は特殊な屋根材料であり、塗料の選択が仕上がりやコストに直結します。
ここでは、塗料選びの際に押さえるべきポイントを3つご紹介します。
業者から見積もりを取る際には、これらの条件を確認して依頼してみましょう。
『適用下地』にセメント瓦と記載があるか要チェック!
セメント瓦の塗装を行う際は、下塗り塗料が「セメント瓦適用」かどうかを必ず確認しましょう。
下塗り塗料は、通常の3回塗りの1回目に使われ、瓦との接着を促す役割を果たします。
適切でない下塗り塗料を使用すると、塗料が剥がれるなどの問題が生じる可能性があります。
たとえば、普段使うボンドや接着剤も、金属用、木材用など素材によって使い分けますよね。
同様に、塗料の下塗り材も全ての塗料がセメント瓦に適しているわけではありません。
この情報は、塗料のカタログやホームページなどの「適用下地」という項目に記載されています。
耐久性の長い『フッ素』や『無機』がお得
セメント瓦の塗装には、フッ素や無機塗料など、耐用年数が長い塗料を選ぶことをおすすめします。
なぜなら、長期的に見てコストパフォーマンスが良いからです。
セメント瓦の家は、通常よりも丈夫でこだわりのある造りが多いです。
そのため、建坪の大きな広い家が多いことがあり、足場代が高額になる傾向があります。
しかし、耐久性の高い塗料を使用することでメンテナンスの回数を減らすことができ、結果的に足場代を節約できます。
これにより、経済的にも大変お得になります。
『遮熱・断熱塗料』は効果が薄いので使わない
近年は、遮熱・断熱などの機能性を持つ塗料が人気ですが、セメント瓦にはこのような塗料を使わない方が良いでしょう。
なぜなら、セメント瓦は厚みがあり、元々熱を通しにくい性質を持っているからです。
そのため、遮熱塗料を塗っても、薄型スレート瓦と比べると効果を実感しにくいことがあります。
高価な遮熱塗料を使っても、ほとんど効果が得られない場合があります。
セメント瓦の家でお部屋が暑いと感じる場合は、窓の遮熱フィルムなどを検討することをおすすめします。
実際の工事の流れ
セメント瓦の塗装は他の一般的な屋根と基本的に同じ流れで行います。
特に重要なのは高圧洗浄と下地処理の工程です。
このポイントをしっかり押さえて、よい品質の工事にしましょう。
①高圧洗浄
屋根の汚れを、高圧洗浄機を使ってしっかり落とします。
汚れが残っていると、せっかく塗っても剥離(はがれ)を起こす危険が高まるためです。
また、高圧洗浄で取り切れなかったカビコケや塗膜などがあった場合は、手作業(ケレン作業)で落としていきます。
②下地処理(補修)
ひび割れているところをコーキング材で一つ一つ補修します。
補修していないと、塗装で表面だけ綺麗になっても、また数年後に同じところからひび割れてしまうからです。
また、瓦のズレや破損があれば、交換なども行ないます。
★高品質工事に最重要は洗浄・下地処理!
セメント瓦の塗装で最も重要なのは①高圧洗浄と②下地処理です。
なぜなら、セメント瓦は他の屋根と違って表面がざらざらとしていることが多く、汚れが溜まりやすいからです。
どんなに良い塗料を使っても、汚れが残ったまま塗装してしまうと、塗膜の下から剥がれてしまいます。
必ず洗浄・下地処理を丁寧にやってもらいましょう。
しかし、屋根の様子はご自身で見ることができません。
「工事中の写真を撮って見せてくださいね」と、業者に伝えておきましょう。
※ご自身で足場、屋根に上るのは大変危険です!絶対に上らないでください!
③下塗り
セメント瓦に適した下塗り材を塗ります。
接着剤の役割をするものですから、適切な量をしっかり塗る必要があります。
劣化がすすんでいた場合、瓦が塗料を吸い込むことがあるため、2回以上重ねて塗る場合もあります。
④中・上塗り
仕上げの塗装を2回塗ります。
広い面はローラーで、細かいところはハケも使って、ムラの無いように塗っていきます。
★乾燥時間をチェック
塗装のときは、1回塗るごとに乾燥時間を空ける必要があります。
乾く前にすぐ塗ってしまうと、適切な塗膜の厚みが確保できないためです。
時間は塗料によって異なり、カタログにに記載があります。
必ずカタログをチェックして、業者にも乾燥時間を含んだスケジュールなのか確認しておきましょう。
▼カタログ例
⑤完了!
セメント瓦は一枚一枚に厚みがある分、作業も手間がかかります。
工事の内容も事前にきちんと説明してくれる、丁寧な業者を選びましょう。
まとめ
セメント瓦の劣化症状には、変色や色あせ、カビやコケの繁殖、そしてひび割れや欠落があります。
メンテナンスとして、築後10~15年を目安に塗装を行うことが理想的です。
費用相場は50~80万円程度であり、適切な塗料選びも重要です。
『適用下地』にセメント瓦と記載がある塗料を使用してください。
中でも、耐久性の長い『フッ素』や『無機』系の塗料がおすすめです。
ただし、遮熱・断熱塗料は効果が薄いため、避けたほうが良いでしょう。
これらのポイントを押さえて、適切な塗装を行い、セメント瓦の寿命を延ばしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。